アカデミー受講生の声
VOIX

1990年から開催している日仏音楽交流事業「京都フランス音楽アカデミー」には、これまで多数の受講生が参加し、いまでは多くの元受講生が国内外で活躍しています。

ここでは、アカデミーに参加した方々へのインタビュー記事をお届けします。
それぞれの音楽人生の中でアカデミーを通して得たものとは?
参加にご興味をお持ちの方は、是非ご一読ください!

(取材・写真・文/治部美和)

●受講生インタビュー

Vol.1 菅沼千尋さん(2025年 マリー=テレーズ・ケレール教授 声楽クラス受講生)

Académie de musique française de Kyoto小学5年生から声楽を学び始め、東京音楽大学・大学院で研鑽を重ねてきた菅沼千尋さん。現在は、演奏と指導の両面で活動の幅を広げています。長年の蓄積を携えて臨んだ今回のアカデミーでは、表現の深さと声の可能性に真摯に向き合う姿が印象的に残りました。各クラスから選抜された受講生による修了コンサートでは、歌劇《ハムレット》より〈私を遊びの仲間にいれてください〉を通して、作品に内在する感情を丁寧にすくい取るような歌唱を披露してくれました。

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●パリ・エコール・ノルマル音楽院スカラシップ過去受賞者リポート

2004年に開始されたパリ・エコール・ノルマル音楽院へのスカラシップ制度は、将来有望な受講生にフランス音楽留学への扉を開く機会となっています。過去のスカラシップ受賞者の声をご紹介します。


Vol.4 永井 啓子さん (2009年スカラシップ受賞、広島交響楽団ヴィオラ奏者)

Académie de musique française de Kyoto 海外で音楽を勉強しようと思ったたことはなかったけれど、国内にいながら国外の教授のレッスンが受講出来る点に魅力を感じ、京都市立芸術大学大学院に在籍中の2009年、「アカデミー」に参加、見事スカラシップを受賞した。 4歳の頃からヴァイオリンを習っていたものの、演奏会に初めて足を運んだのは中学生の時。そしてその日耳にしたヴァイオリンの音色に衝撃を受けた。「自分もこんな音を出したい!」。それまで師事していた先生に相談し、指導者を代えて本格的に音楽に取り組み始め、この頃から音楽を専門に生きていこうと決意したそうだ。

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Vol.3 松尾紗里さん(2009年スカラシップ受賞、ピアノ)

Académie de musique française de Kyoto 留学する時期は人によって様々だ。松尾さんが京都フランス音楽アカデミー(以後アカデミー)を受講したのは、京都市立芸術大学ピアノ科に在籍していた3年生の春だった。最終学年を目前に控え、毎年アカデミーを受講していた友人や、新聞でアカデミーを知った母親から勧められたのがきっかけだったそう。クリスチャン・イヴァルディクラスを受講。「先生の音色に目が丸くなりました。自分の音と全く違ったのです。ものすごく素晴らしかった」。見事スカラシップを受賞したが、「留学するのは今じゃないと思い、辞退しました」。

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Vol.2 大橋ジュンさん(2004年スカラシップ受賞、声楽家・ソプラノ)

Académie de musique française de Kyoto大阪音楽大学声楽科、同大学専攻科を修了後、母校の助手や大阪のプール学園高等学校の非常勤講師として務めるかたわら、関西各地で様々な賞を受賞していた大橋さん。仕事や自身の音楽活動で忙しいにも関わらず、2004年に開催された第15回京都フランス音楽アカデミー(以下アカデミー)に参加したのは「フランス歌曲に興味があり、仕事も春休みで丁度良い機会と思ったから」だと言う。

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Vol.1 白根亜紀さん(2005年スカラシップ受賞、声楽家・メゾソプラノ)

Académie de musique française de Kyoto2005年に開かれた第16回京都フランス音楽アカデミー(以下アカデミー)声楽の部に参加したのは、まだ京都市立芸術大学に在籍中の学生の時だった。既に、滋賀県の「県立芸術劇場琵琶湖ホール」専属の声楽家として活動していたが、あるリサイタルで知り合った伴奏者に受講を薦められたのがきっかけだったという。既に応募締め切りは過ぎていた。急いで書類を整え、音源を送ったところ、合格の通知が来た。

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【ライタープロフィール】

治部美和
フリーランスライター。静岡生まれ京都育ち。パリ第4大学ソルボンヌ在籍中、日系企業の現地取材や撮影のアシスタント、通訳、広報誌の取材・執筆などを担当。日本で新聞社系の週刊情報紙の記者を勤めた後、プラハ、N.Y.やシカゴ生活を経て、現在東京在住。